地震波自動読み取りシステム |
弊社は、P波、S波到着時刻の自動読み取り、震源決定を行うシステムの開発を行っており(堀内・他、日本地震学会2009,2010,2011,2018)、このシステムは、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、九州大学等への納入実績がある。以下は、このシステムの概要である。
1. はじめに
地震の専門家や読み取りに従事しているオペレータは、到着時刻を読み取る場合、地震波の到来で振幅が大きくなったのか、ノイズで偶然大きくなったのかを、地震学的知見と、波形の特徴を見て、総合的に判断し、両者を区別している。潟zームサイスモメータによる自動読み取りソフトウエアには、地震の専門家等が行うのと同様の、総合判断を行う機能が組み込まれている。
2.評価関数を用いたP波、S波到着時刻の読み取り
3.震源決定
自動震源決定システムの課題の一つは、複数の地震が同時発生した場合に、正しい震源を決定することが難しい点である。一般に、震源決定には最小二乗法が使われている。しかし、到着時刻データに、別の地震やノイズ等のデータが一点でも混入すると、最少二乗法の解は、真の震源位置から大きくずれる。そこで、下図に示すように、自動的に読み取られた、P波、S波到着時刻で振幅が大きくなる疑似波形を作成し、センブランス解析法を用いて震源決定を行うようにした。計算は、グリッドサーチで行うようにし、グリッド毎に、各観測点までのP波、S波の走時を計算し、疑似波形の時間軸をずらせて、センブランスの値を計算するようにした。また、グリッド間隔が大きい場合には、疑似波形の波長を長くするようにした。 センブランス解析は、ノイズに埋もれたコヒーレントな位相を検出する場合に有効な方法であることから、本手法は、多数の地震が同時に発生する場合の震源決定に適している。
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